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・日本うどん学会からご挨拶
1993年発行の「恐るべきさぬきうどん」で火がついた空前の讃岐うどんブームは香川県外からの「讃岐うどん
巡礼」客の急増や、うどん店の県外進出といった、大きな経済効果をもたらすまでに発しつつあります。
うどんは奈良時代に中国から渡来し、わが国の食べ物として普及したと言われています。当時は饅頭(まんじ
ゅう)に近い形で混沌(こんとん)と呼ばれたのが、熱くして食べるので饂飩(うどん)となったとの説があります。
他方、原材料や形から見れば、「そうめん」、「冷麦」、「きしめん」等もうどんの仲間ですが、生活の中では呼称
が区別されています。
また、原材料の違い、調理方法・食べ方は多種多様です。なかでも、うどんの本場と自称する香川県では「うど
んは別腹」と言い、三度の食事とは別に食べるスタイルもあります。
さらに、讃岐うどん店舗の形態も「一般店(食堂スタイル)」、「セルフ店」、「製麺所付属店」に大別されるように、
讃岐の人の生活ニーズに応じたスタイルが設営されています。
他方、秋田県の「稲庭うどん」、群馬県の「水沢うどん」、三重県の「伊勢うどん」、愛知県の「きしめん」、奈良県
の「三輪そうめん」、福岡県の「博多うどん」などもその地域のバックグランドと深く関わり育まれ今日に至ってい
ます。つまり、各地域の文化・慣習・特産品まどと結びつき誕生したものであり、その地域の郷土食が全国に広
がったと考えられます。
このように全国規模で普及しているうどんの研究進捗具合は、分野によって大きな差異が見られます。とりわ
け、自然科学、歴史分野からのアプローチは先達者によって学問体系が確立されつつあります。 しかしなが
ら、地理・歴史、食文化、経営・商業等のサイドからの切り口による学問的研究は十分と言い難く、解明すべき
点も残っています。すなわち、過去の経緯と実績、現状の有り様を踏まえながら、うどん文化の継承、これから
のうどん店経営の方向性・マーケティング戦略はどうすべきか等を研究する必要があります。
この様な観点から、私共はうどんの種類・チャンネル・食文化等に関連する問題をフィールドワークに重きをおい
た手法で学際的・業際的に研究すべきであるとの見解に達し、有志が集まり「日本うどん学会」の設立を決定い
たしました。
うどんの文化、地理・歴史、経営・商業等の研究者はもとより、実業界その他の分野で「うどん」に関心を有する
すべての方々のご賛同ご参加を強く希望する次第でございます。
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